結納の儀
贈答慣習
結納のしきたりは地区により異なりますが、大別すると東日本の双方方式と西日本の一方方式に分かれ、双方方式とは新郎側と新婦側との両方が結納品を交わし合うもので、一方方式とは新郎側のみ新婦側に結納品を納める方式です。
事前に両家との話合いで定めた吉日に仲人夫婦が相手側から預かったよう結納品を持参します。
昨今では、仲人の労苦を軽減する目的で、いずれかの自宅かホテルの一室を利用するなどして一同が会して行う略式的な結納式であったり、双方が話し合って結納の儀式を省略する場合もあります。
結納を贈る時期
結納金の金額は事前に両家で話し合って定めておき、結納儀式当日に仲人を介して結納品にあわせて贈ります。
結納返し
東日本方式では「半返し」といって新郎側の半額を新婦側に返すのがしきたりです。西日本方式では一方方式のために結納返しのしきたりはありません。
仲人への謝礼
当日に謝礼をする場合は、東日本の双方方式ではそれぞれの結納儀式終了後に、事前に話し合って折半した同額のものを「御礼」として手渡します。
西日本の一方方式の場合は結納儀式終了後に、新郎側の結納金の1割程度の金額を「おため」といって新婦側から仲人が預かり持ち帰ったものを、新郎側から「御礼」として手渡すのがしきたりです。
後日(翌日など出来るだけ早い方が良い)改めて謝礼する場合は、両家の両親が揃ってお礼のご挨拶を兼ねて「内祝の品」とあわせて「御礼」を手渡しますが、金額は新郎側の結納金の1割程度として、東日本の双方方式では両家で折半したものを一括にして代表で新郎側が、また西日本の一方方式の場合は新郎側が持参して手渡すようにします。
尚、仲人に両家を往き来して貰う場合は、「御礼」とは別に「御車料」として両家でそれぞれ個別に差し上げます。
ひとくちMEMO
仲人への謝礼は、結納返しをしない時は新郎側で用意し、結納返しをする場合は両家で折半し両家でそれぞれ仲人に贈る。なお、結納式終了時に御礼する場合と、荷送りに仲人が立ち会う時は荷送り終了時に御礼する場合がある。
ご贈答のマナー
贈答様式 | 贈り元 | 献辞(表書き) | 慶弔用品 |
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結納金を贈る | 新郎側 | 御帯料 小袖料 御帯地料 |
【金封】金銀結切り/金銀あわび結び |
結納返し | 新婦側 | 御袴料 御袴地料 |
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仲人への謝礼 | 新郎側又は両家 | 御礼 寿 |
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御車料 |
使用例(のし紙/金封/のし袋の様式)
おため・ため紙(夫婦紙・おうつり)
近畿地方の都市部などでは、結婚の祝い金を受けた印として、ため紙(夫婦紙ともいう)と言われる懐紙(または半紙)包み(三つ折包みに金銀の水引を掛けたもの)と併せて、「寿」と献辞(表書き)を書き入れたのし袋にお祝い金の1割程度を入れて返す習慣があります。
元々は、お祝い金を届けた使いの者に、確かに受取った旨の証として懐紙包みを持たした際に、届けた「おため(褒美・駄賃)」として小銭を包んで与えたことに発祥し、この懐紙包みが「ため紙」と言われるようになりました。
従って、当時は本人が届けた場合は「懐紙包み」のみが「贈り物に対するお返しの印」として用いられていたが、現在では「おため」の風習そのものが「贈り物に対するお返しの儀式」として残り伝えられ、のし袋にお祝い金の1割程度を入れて返す習慣が根付いています。
おためとは「御為=あなたのために」ということからきているとか、「御多芽」とも書くことから「良い事が多く訪れますように」という意味合いがあるなど言われていますが、いずれも元々は神道の「神様のご利益」との意味合いを持つ言葉とされています。 おうつりの「うつり」とは、「喜び事が移って行くように」という意味合いがあると言われていますが、これも元々は神道の「神様からのお祝いを移す」という意味合いがあるとされています。